「ジャック!!」





すっかり日が昇ったころ、ジャックとKKはDeuilが仕事をしているスタジオに向かった。

裏口から入ると、すぐ隣の部屋からでてきたスタッフがあわてて連絡をとってくれて。
間もなく、2人と3人は廊下で鉢合わせた。
ジャックの姿を眼にとめたアッシュが、転がるように走り寄ってくる。


「あああああジャック!!無事だったんスね!!怪我はないっスか!?」

「・・・あったけどなくなった。」
「はい?あった・・・って・・・
 ぎゃぁぁぁ!!黒ずんでるこれって、ちちち血じゃないっスかぁぁ!!!」
「大したことはない・・・」
「何が大したことないんスかっ!!!きゅ、救急車ーーーーー!!!!」


大丈夫だ!と主張するジャックを小脇に抱え、近くの部屋に駆け込むアッシュ。
血、という単語に、KKは残りの二人の視線が、ナイフのように鋭くなっていくのを感じた。


「・・・返り血だよ。アイツに怪我はねェ。」

「そんなウソが、私に通用するとでも思っているのか?」


ほとんど表情を変えないまま、ユーリが言葉をつむぐ。
その視線は、下手な脅しより効果があるだろう。
KKは肩をすくめた。


「あんたには通じなくても、犬さんには通じるだろ。」
「うわァ。アッスくんてば外でも犬扱いなんだねェ・・・」


舌に冗談をのせ、顔は笑っているが、透明人間の眼は、照準機のように自分をとらえている。
さすが天下の妖怪バンド、迫力が違うねぇ。などと考えながら、KKはもう一度肩をすくめた。


「その・・・なりゆきだよ、仕方なかったんだ。」
「まぁ、そうだろうけどねェ・・・」
「・・・誰か、殺したのか。」




やっぱ、そこを聞くか。

KKはタバコに火をつけ、軽く首を振った。


「そう。・・・アリガトウ。」
「・・・へ?」


さっきの刺すような気配はどこへやら。
ニコニコ笑いながら言ったスマイルに、思わず変な声が出てしまう。



「だって、キミが殺させずにいてくれたんでショ?」

「・・・・・・。」





体ごと首をかしげて、確認するように・・・少し見透かしたように。
彼らは、自分が何をしているのか、何をしてきたのか・・・おおよその見当はついているんだろう。


「まぁ・・・それもなりゆきだ。礼を言われるようなことはしてねぇよ。」

「アレ?ひょっとして照れてるの?カワイーvv」
「バッ・・・な、誰が照れてるんだよ!!」
「ヒッヒッヒ〜☆
 ボク、けっこうキミのこと好きかもー!」
「うげ・・・やめろこっち来るな!!気持ち悪ィ!!」
「エー!ヒドイー!!そういうコト言うー?!」


ぎゃあぎゃあ騒ぐ2人を眺めながら、ユーリは小さくため息をついた。


「ユーリ!ジャックに怪我はないっスよー!!」


心底安心したように息をついて、部屋から出てくるアッシュ。
新しいシャツを着て、ジャックも後ろから顔を出した。


「でも、この血はいったい・・・」
「ケチャップだってサー♪」
「んなわけないっスよ!俺の鼻を甘く見るなっス!!」
「・・・犬め・・・。」


犬じゃねぇっスーーー!!
叫ぶアッシュの後ろから、ジャックはKKに視線を送る。
怪我のことは言うなよ、と視線を返してやると、少し困ったような顔をしていたが、小さく頷いたのが見えた。










「ほんじゃあ、俺はこれで・・・」

「あ、ありがとうございますKKさん!!お礼は後日あらためてうかがわせて頂くっス!!」
「あーいい。いいって。ホント大したことしてねぇから。」
「そうなんスか?でも・・・」
「あんま固いのは性にあわねーんだ。気にすんなって・・・世の中助け合いだろ?」
「そ・・・そうっスね!!ホントありがとうございます!!!」


世の中助け合い、という単語で、KKにすっかり気を許してしまっているアッシュ。
アッシュのいい人オーラに押されながら、KKは張り付けたような笑いを浮かべた。
横にいる2人の冷めた視線がけっこう痛い。


「世の中助け合い・・・ねェ?」
「・・・じ、じゃあ俺はこれで!!あばよ、ジャック。」


歩き出すKKの服を、ジャックはつかんで引き止めた。


「あ?なんだよ。」
「・・・どこに行けば、お前に会える?」

「〜〜〜〜〜;;」


しまった・・・なつかれた・・・。
KKは、廊下の灰皿の上で、トン、とタバコをたたき、ジャックの頭をワシャワシャとなでた。


「・・・もう会わないほうがいいだろ。お互いに。」
「いやだ。」
「お前な・・・。あー・・・そのうち、晩飯でも食いに行くからよ。」
「ウソだ。絶対来ない。」



苦し紛れに言ったいいわけをはね返され、KKはタバコを噛んだ。

本音をいうと、あんまりコイツとは関わりたくない。
掃除屋の本能が、コイツに危険信号を感じているから。
・・・興味がないわけではないんだが。


「どこにいるんだ?お前は。」
「あー。探せ。どっかにいる。」
「・・・・・・。」


明らかに不機嫌の色を浮かべ、自分をにらみつける少年の髪をもう一度かき混ぜ、
タバコを灰皿に押し付ける。


「縁があればまた会えるだろうし、会えなかったら俺とお前はそれまでだったということだ。いいな?」


むくれたままのジャックから離れ、今度こそ、背を向けて外に歩き出す。
背中にかかるのは、狼男の礼の言葉と、吸血鬼の小さなねぎらい。

素直じゃないねぇ、と口の端を持ち上げた。

そして。











「絶対見つけてやるからな!!」



















凛とした声に、自分とそいつの抱える全てを重ね・・・燃える太陽に透かしてみよう。
なぁジャック。なにが見える?







振り返らずに軽く手を上げて、このゴミだらけの美しい街へ。







(とりあえず・・・帰って寝るとするか。)




































    I have to go now.

    You have to go now.




    Looking for・・・
































































♪きたかぜーこぞうのかんたろう〜(かんたろー!)←子供の声
今年もー町までやってきたー
ひゅーんひゅーん ひゅるるーんるんるんるんー
冬でーござんすー
ひゅーるるーるるーるるんー♪



という歌があるんですよ。
「みんなのうた」だと思いますけど。

KKってイニシャルだよねーということで、
いろいろなところでいろいろな名前をつけられてるMrですが。
ウチでは北風寒太郎で(笑)

いや・・・長いのって大変ですね!!
だいぶ一発書きなんで、ちょこちょこ直されていくと思います・・・
すんません。
ゴメンナサイ。文才なくて(涙)

タイトルでいつも困ります。今回はKKの曲の歌詞から。
いい曲ですよね!オルタナティブ・・・vv
できねーよvv


ちなみに、最後ユーリさんが言ったねぎらいの言葉とは。
「・・・世話になった」
みたいな感じでしょうかね?(聞くな)
どうも出番が少なくて、申し訳ない限りですよ・・・


読んでくださった方、ホントにホントにありがとうございました!!!!
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