「はーーーっはっはっはっは!!まさかこんなところで会うとは思ってなかったうへ!!」
美容院に豪快な笑い声が響く。
ソファーに座り、KKの背中をバシバシたたくDTO。
上機嫌なDTOとは対照的に、KKは何十本もの縦線を背負い、人魂が周りに寄ってきているという
絵に描いたような落ち込みっぷりだった。
「・・・で、このおっさんとどういう関係なんだ?DTOは。」
リュータが不思議そうに聞く。
‘おっさん’と呼ばれたことに、またまた沈没しているKKを、ジャックはおろおろしながら見つめた。
「俺とコイツは同じ高校だったころ。コイツの方が一つ上だけど、
留年して3年間同じクラスだったうへ。いやー懐かしいなー!うへ!」
「俺とリュータみたいだな。」
「け・・・KKさんとDTO先生って、同級生だったんですか・・・!」
「DTOと同級生だった、か。・・・おっさん、大変だったな。」
「リュータ、お前ソレどういう意味なんだころ。」
KKに同情のまなざしを送るリュータに、DTOのツッコミが飛ぶ。
「・・・と、いうことは・・・」
後ろで腕を組んでいたマコトが口を開いた。
全員、口を閉じてマコトを見る。
「先生は、ケイさんの本名を知ってるってコトですか?」
一瞬の間の後、今度はDTOに視線が集中する。
ジャックだけはKKの方に目をやった。
ニヤリ、と笑うDTOと、これまた反対に魂が口からはみ出かけているKK。
「なんだ?お前こいつらに名乗ってないうへか?
っていうか、本名隠さなきゃいけないようなコトしてるのか?ころ。」
「・・・・・・。」
「全く仕方ねーな!よし、俺が教えてやるうへ。こいつの名前は・・・」
「「「名前は・・・?」」」
変なタメを入れるDTOに、学生トリオはわくわくと目を輝かせながら聞き返す。
「北風寒太郎って言うころよv」「嘘つけ。」
しーん。
DTOの言葉が終わるか終わらないうちに、ジャックはキッパリと言い放った。
「・・・なんだ?このおチビさんは。うへ。」
特に怒った様子もなく、DTOはジャックに視線を合わせた。
どうやら、今の今までジャックのことはアウトオブ眼中だったらしい。
チビ、という単語に、ジャックの眉がピクピクと引きつる。
「誰がチビだ!オレの名前はジャックだ!!」
「ふーん・・・」
まじまじと自分を見るDTOを、ジャックはにらみつけた。
何を思ったか、DTOはまたニヤリと笑いを浮かべると、KKの肩にポン、と手を置いた。
「寒太郎・・・結婚してたなら早く言ってくれころvvカワイイ息子さんじゃないかうへ。」「違えよ。」
KKが初めて口を開いた。
ジャックは話の内容がよくわからず、隣にいるサイバーたちに目をやる。
「え・・・じゃあジャックがKKを追いかけてたのは・・・。」
「お母さんと自分を捨てて蒸発してしまった父、つまりKKさんを探してたからなんですか!?」
「借金抱えてて息子に合わせる顔がないから、逃げ出したんだな!?」
「ケイさん・・・そんな複雑な事情が・・・。(ほろり)」
「勝手に話を作るな状況設定するな同情して泣くなぁぁぁ!!!!!!」
ありもしない人情悲劇が展開され、
KKは輪の中心にある机をひっくり返さんばかりの勢いでツッこんだ。
「なんだ・・・違うのか。ちぇっ。つまんねーうへ。」
「お前ってやつは・・・全然変わってねぇな・・・」
口を尖らせ、ブーブーと文句を言うDTOに、KKは今日何度目かのため息をついた。
「ねぇねぇ、なんでジャックは北風寒太郎ってのがウソだってわかったんですか?」
小さく首をかしげてたずねてくるハヤト。
「・・・・・・なんとなく・・・。」
「なんとなくかよ。」
「でもあきらかにウソっぽい名前だよな。
DTO、このおっさん、本当にそういう名前なのか?」
「んにゃ、あだ名うへ。」
「っていうかよ!お前さっきから俺のことおっさんおっさん言い過ぎなんだよ!!
俺はまだおっさんなんて年じゃねーーーーーーー!!」
ケロリと答えるDTOの横から、KKはリュータに怒鳴った。
リュータは、しばらくKKを眺めると、ハヤトとサイバーに一言二言耳打ちする。
「な・・・なにしゃべってやが・・・」
「おっさんがダメなら・・・」
「おじさまぁ!!」
「はぁいはい、おじさんはここですよ〜vv」
「この人を殺すなら私も死にますっ!!」
「あいつはとんでもないものを盗んで行きました・・・」
「えっ・・・」
「貴方の心です。」
「ルパ○三世っ!?」
体をムダにくねくねさせながら女声を出すサイバー。
鼻をつまんで某怪盗の声を真似るリュータ。
ハヤトにいたっては、指でアゴを二つに割っている。
最後の方で気がついたマコトに、3人は声をそろえて「当ったり〜♪」と言った。
「またつまらぬものを斬ってしまった・・・うへころ。」
「お前もノるな!!」
眉間にシワをよせ、刀を構える真似をするDTOに、KKの鋭いツッコミが飛ぶ。
「というわけで、‘おじさま’で。」
「ブン殴るぞ!!」
「????」
ぎゃあぎゃあ言い合いが始まった中で、ジャックは一人、首をひねる。
「そういえば、家庭訪問はいつやってくれるんだろう・・・」
コーヒーのおかわりを作りにキッチンへ向かいながら、
今更のようにつぶやくマコトだった。
「じゃあなマコト!また来るぜ!」
「あ!コラ寒太郎!待つうへー!!」
飲みに行こうと強引に連れ出そうとするDTOを振り切り、KKはスタコラサッサと逃げ帰った。
あわてて後を追おうとするDTOをハヤトが引っぱっておさえる。
「先生!サイバー先輩の家庭訪問、ちゃんとやって下さいよっ!!」
「家庭訪問?・・・ハッ!そうだったころ!!!そのためにサイバーの家へ来たんだっけ・・・うへ。」
「忘れてたのかよ・・・」
ガーン!とショックを受ける現役教師。
ハヤトとリュータは違う意味でショックを受け、同時にため息をつく。
「えーと、とりあえず向こう2週間は、8時前に家に帰れないと思え。うへ。」
「は・・・?」
「お兄さんも、そこらへん了承してほしいころ。」
「はい。よろしくご指導ください。」
「まかせとけ!うへ。」
「ちょっ・・・!それってどういうことだよDTO!!」
2人の間で勝手に話が進められていることに気づき、サイバーはあわてて割って入った。
「8時前に家に帰れないって・・・」
「もちろん、赤点とった分の補習授業うへ。
短期集中型、少人数構成で授業費はタダ!親切丁寧ちょっぴり鬼畜vvがモットー!!
他ではありえないお得プランうへころ。」
「マジでーーー!?7時に家に帰れなきゃ、ギャンブラーZが見れないじゃねーかよー!!」
「先輩・・・日ごろから思ってましたけど、あなたいくつなんですか・・・」
「いや、俺は『ちょっぴり鬼畜vv』の方が気になるんだが・・・」
聞いていて悲しくなるハヤトのつぶやきも、何気に一番正しいリュータの意見も、
DTOに時間の交渉をしているサイバーには届かない。
「頼むよ金曜日だけでいいから!!」
「な〜に甘ったれたこと言ってるうへ。ちゃんと赤点とった報いを受けるころ。」
「そんなァーーーーーー!!!」
ムンクの叫び状態のサイバーを苦笑しながら眺めていたマコトは、
下の方で服が引っぱられたのに気づき、振り返る。
ズボンをくいくいと引っぱっていたのは、ジャックだった。
「ん?どうしたの?」
「・・・そろそろアッシュたちの仕事が終わる時間だから、帰る。」
「うん、わかった。気をつけて帰るんだよ。」
にこにこと笑いながら頭を撫でてくれたマコトに、来たときと同じように小さくおじぎをして、
ジャックはその場をあとにした。
後ろから聞こえてくる、真面目なのか冗談なのか分からない言い争いに、首をかしげながら歩き出す。
(結局オレ、なにしに来たんだろう・・・。)
ジャック右に左に首をかしげながら、少し陽の傾いた町を帰っていった。
後日、ギャンブラーZの録画に失敗したサイバーが、
スマイルにビデオを借りにユーリ城を訪れたのは、また別の話。
終わり・・・ですか?(聞くな)
いえ、とあるサイトさまでDTOとKKが同じ高校〜というイラストを見かけまして・・・
うわーそりゃ大変な高校生活だっただろうなーと思いまして・・・
夏休みの宿題半分こしてたんじゃないかとか。
同じ女の子を好きになって、めっちゃ張り合ってたけど結局両方フラれちゃったとか。
男の友情を誓い合ったとか。
夕日に向かって「青春のバカヤロー」とか言ってたりとか。
きっとエロ本回し読みしてたんだろうなとか。
コンビニで年齢制限有の棚の前に何時間も居座ったりしてたんだろうなとか。
DTOは熟女が好きで、KKは女子高生が好きなんじゃなかろうかとか。
なんかいろいろ考えているうちに、
「これは小説書くしかない!」という結論に・・・
でも、完成するまでにすごい時間かかったり。
結局とても微妙な話になってしまったり。
・・・すみません(泣)
どこか一箇所でも「ヒッヒッヒッ!」と笑って頂けるところがあれば嬉しいです。
感想・・・こっそりお待ちしてますvv
ブラウザを閉じて戻って下さい。
前へ